奪われた「真っ当な未来」。クォン・ユナの悲劇的な最期と届かなかった想い
韓国ドラマ「ブラインド」において、最も切なく、そして残酷な最期を遂げたのがクォン・ユナです。
更生を決意した矢先に奪われた彼女の短い人生と、その純粋な想いを振り返ります。
※ネタバレ表現あり
2度の災難に襲われた悲劇の少女
母親の愛情を受けずに育っている悲しい境遇のユナ。
作中では2度も命の危険にさらされるという、かなり過酷な境遇です。
家出少女として荒んだ生活を送っていたユナは、チョ・ウンギ(チョン・ウンジ)との出会いを通じて「真っ当に生きる」道を見つけました。
救われたはずの命。チョン・ユンジェに奪われた真っ当な未来
しかし、荒れていた彼女はトラブルを巻き起こした結果チェ・スンギルに暴行を受け、死の淵をさ迷いながら生還しました。
1度は命が助かり、さらに更生の道を進み非好感キャラからも脱したユナ。
そんな矢先にメインストーリーである復讐劇の犯人であるチョン・ユンジェによって命を狙われ、本当に死んでしまいました。
画面を直視するのが辛くなるほど、孤独で残酷な最期。
ユナは復讐劇のターゲットではなかったのですが、共犯者であるソンフンがユンジェのターゲットであるウンギを救おうとした結果、ユンジェの矛先がユナに向いてしまいました。
ユナの残したダイイングメッセージは事件解決の大きな手掛かりとなりましたが、その代償はあまりにも大きなものになりました。
18歳差の境界線。ソンフンへの淡い初恋
ユナが更生の道を進み、非好感キャラを脱したのはソンフン(ハ・ソクジン)との出会いが大きいです。
ソンジュン(テギョン)を匿う過程で偶然知り合うことになった2人。
大人を信じられなかったユナにとって、自分と同じ匂いを感じ(事実、親の愛を知らずに育った共通点がある)自分を対等な人間として扱ってくれるソンフンの存在は大きな救いだったはず。
35歳のソンフンに対してユナは17歳なので、さすがにロマンス描写はありませんでしたが・・・。
それでもユナからは片思いの気配を感じることができました。
そんな健気で普通の少女になったユナの姿が、悲劇的な死をより一層際立たせました。
ソンフンがユナの死を知ったときに見せた動揺も、復讐劇の共犯である彼の中に残っていた「人間らしい痛み」を感じられました。
新人カン・ナオンへの称賛と展開への惜しい点
ユナを演じたカン・ナオンは「ブラインド」がデビュー作になるのですが、それを感じさせない良い演技を見せてくれました。
心を閉ざしていた荒れた少女が、純粋な少女に戻っていく繊細な変化を、新人とは思えない解像度で演じきっていました。
カン・ナオンの演技は良いのですが、ユナというキャラクターの死については惜しいという声も大きいです。
1度は助かったキャラクターを再び、しかもより凄惨な形で犠牲にしたのは、批判も大きなところ。
1度目の悲劇はストーリー上も、被害者がユナである必要はないですしね。
見たかった更生への道。ソンフンを人間へと引き戻した存在
ユナが更生し、ウンギやソンフンと共に更生の道を歩むストーリーも見たかったところです。
それくらいユナは愛されたキャラクターになりました。
なにより、ソンフンとの年の差ケミも良かったですからね。
あの鉄仮面のソンフンを手玉にとってプリクラ撮影をしたユナは凄いですよ。
どこか怪しかったソンフンまで魅力的なキャラクターに引き上げたあの瞬間、彼女はただの17歳の少女に戻っていました。
アトリエの独り言
ユナも親に見捨てられた犠牲者の1人です。
それでも周囲の大人たち次第では、真っ当な道に進めることを示したキャラクター。
ユンジェやソンフンはユナよりも過酷な境遇だったとはいえ、復讐以外の選択肢もあったのかもしれません。
序盤のココママの死も悲しいものでしたが、ユナの死はさらに悲しいもの。
なんの罪もない、か弱い女性が被害にあうのを見るのは辛いですね。
とはいえ、そうでもしないと、ユンジェやソンフンの復讐が美化される懸念があります。
それくらい悲惨な子供時代を送っている2人ですから。