舞台の上でだけは自由になれる女たちの物語
24年にtvNで放送された韓国ドラマの「ジョンニョン」です。
主演にキム・テリ、シン・イェウン、ラ・ミラン、チョン・ウンチェら。
ウェブトゥーンが原作で、1950年代の女性国劇(女性のみで構成される伝統演劇)の世界に飛び込んだ少女の成長を描いた作品になりますね。
ジョンニョンの視聴率推移
初回は4.8%という視聴率でスタートした「ジョンニョン」です。
1話が自己最低視聴率となり、2話で8.2%、4話で早くも二桁を突破するなど、驚異的な勢いで数字を伸ばしました。
最終回12話では自己最高視聴率16.5%、瞬間最高は18.2%を記録し、有終の美を飾っています。
24年に放送されたtvNドラマの中では「涙の女王」に次ぐ高視聴率を叩き出し、興行的に大成功を収めた作品となりました。
※数字はニールセンコリア調べ
ジョンニョンの韓国での評価
今作は時代劇、ミュージカル、成長ジャンルになりますね。
俳優たちの圧倒的な熱演と、国劇の見事な再現性が韓国内でも非常に高く評価されました。
特にキム・テリが演じた、歌と演技に執着し狂気すら感じさせるジョンニョンの姿は「憑依型の演技」と絶賛を浴びています。
キム・テリはこのドラマのために21年から約3年間パンソリの練習をしたらしい。
それだけの熱量でドラマ制作をしていくんだから、良い作品にもなりますね。
「竜頭蛇尾」の議論と、12部作に凝縮された物語の限界
しかし、現地のメディアでは脚本に対する厳しい意見も少なくありません。
特に韓国ドラマにありがち、竜頭蛇尾という評価を受けてしまった点は非常に残念なところ。
原作のウェブトゥーンが比較的長い作品なのに対して、ドラマは12部作と短めです。
結果、ドラマの中盤以降は挫折や葛藤にスポットが当たらず、とんとん拍子で解決していく印象にもなりました。
また、脇役キャラのエピソードが減ったことも、原作ファンががっかりしたところ。
さらに女性のアイデンティティに対する原作のメッセージ性が損なわれた点が残念とされる。
とはいえ、そのようなメッセージ性が減ったことで、逆に大衆性は増して高視聴率に繋がったという声もあります。
消えたヒロイン格の存在
気になるのは、原作ウェブトゥーンで非常に重要な役割を担っていたキャラであるクォン・ブヨンの削除です。
彼女はジョンニョンの「1号ファン」であり、当時の女性たちが直面していた家父長制への葛藤や、同性愛的要素を象徴するヒロイン的な存在でした。
「主人公たちのライバル関係に集中するため」というのが削除の理由ですが、原作ファンから大きな反発が起きました。
ブヨンがいないことでドラマの社会的メッセージが弱まり、結局はよくある成長ドラマに落ち着いてしまったという批判的な意見もあります。
もっとも、テレビドラマなので過激な要素は減らして、わかりやすいエピソードに集中したというのも理解できます。
ほとんどの視聴者は原作を知らないでしょうから、さほどマイナス要素にはならないとは思う。
いずれにしてもクォン・ブヨンの削除は、ドラマを大衆的にするための選択だったわけですね。
ジョンニョンのOSTまとめ
イナルチ「Bird」
ユン・ジョンニョン,ジョウン,Maeran Gukgeukdan「Tears of Mokpo」
チョ・ユリ「Spring days pass」
ユン・ジョンニョン,Maeran Gukgeukdan「Wangja Mama 」
ユン・ジョンニョン,Maeran Gukgeukdan「Galkkabuda」
ソ・ヨンレ「Chuwol manjeong」
アトリエの独り言
「ジョンニョン」というドラマは、韓国でも忘れ去られつつあった女性国劇という素材にスポットを当てた功績が大きいです。
キム・テリとシン・イェウンが舞台の上で見せた、火花の散るような演技バトルは圧巻。
そもそも脚本の批判も原作ファンによるものが大多数なわけですから。
原作を知らずに見るなら、文句なしの名作評価と言えるのかもしれません。
竜頭蛇尾議論に関しては原作関係なしに起きていることではあるので、その点は理解したうえで見た方がいいのかも。