気になるニュース、私なりの読み解き。韓流エンタメや韓国ドラマの最新情報を独自の視点で。

太宗イ・バンウォンの視聴率と評価。不祥事で汚れた大河復活劇の真実

太宗イ・バンウォンの視聴率と評価。不祥事で汚れた大河復活劇の真実

本格的な歴史ドラマの復活

2021年から2022年にかけてKBSで放送された韓国ドラマの「太宗イ・バンウォン」です。
主演にチュ・サンウクをはじめ、キム・ヨンチョル、パク・チニ、イェ・ジウォン。

約6年ぶりの大河ドラマということで、放送前から大きな注目を集めた作品です。

太宗イ・バンウォンの視聴率推移

回次全国視聴率(ニールセン)
1回8.7%
2回9.4%
3回8.8%
4回9.2%
5回8.7%
6回6.7%
7回7.4%
8回10.2%
9回10.0%
10回10.2%
11回11.0%
12回11.2%
13回8.0%
14回9.0%
15回8.9%
16回9.5%
17回9.0%
18回9.7%
19回9.9%
20回9.9%
21回9.5%
22回10.0%
23回10.1%
24回10.7%
25回9.5%
26回11.5%
27回9.3%
28回11.7%
29回10.2%
30回11.3%
31回10.7%
32回11.5%

(※データ出典:ニールセンコリア基準)

初回は8.7%という好調な滑り出しを見せた「太宗イ・バンウォン」です。
6話で自己最低の6.7%を記録しましたが、これは年末特番による影響が大きく、基本的には8%台を安定してキープしていました。

その後、8話で初の二桁台に突入したものの、大きく伸ばすことはできず・・・。
28話の11.7%が自己最高視聴率、最終回32話は11.5%となっています。

撮影現場での馬の虐待問題による放送休止期間が約1か月あります。
これが視聴率の勢いにブレーキをかけてしまったと考えられますね。
空白期間があるだけでなく、ドラマの印象もかなり悪いものになってしまいました。

太宗イ・バンウォンの韓国での評価

今回は正統派の大河時代劇ジャンルになりますね。
作品自体は、正統派時代劇としての完成度の高さから非常に良い評価を得ています。
2021年はファンタジー設定や仮想の王国を舞台にした史劇が多かった中で、実在の人物を忠実に描くスタイルが、本来の時代劇ファンから熱烈な支持を受けました。

主演のチュ・サンウクは、放送前は「王の顔ではない」といった声もありましたが、放送が始まると圧倒的な演技力でそれらの懸念を払拭し、視聴者の不安を圧倒的な熱演で「感嘆」へと変えてみせました。
スマートなイメージのある俳優ですが、冷徹な絶対君主を消化しています。

作品の価値を揺るがした不祥事と制作技術の課題

一方で、制作過程における「落馬シーン撮影での馬の虐待・死亡事故」は、韓国国内でも極めて厳しい批判を浴びました。
この事件によりスタントマンも負傷しており、公共放送としての倫理観を問う声が出たことは、作品の歴史における大きな汚点となっています。(放送休止の署名活動まで起きた)
また、韓国政府(農林畜産食品部)が「放送制作時の動物保護ガイドライン」を策定するきっかけになりました。

そもそも6年ぶりの大河ドラマだというのに、戦闘シーンのCGのクオリティに進歩が見られなかった点もマイナス要素になります。
KBSは公共放送なので莫大な予算を組めないのかもしれませんが、視聴者は高予算の豪華なドラマに慣れていますからね。
どうしても古臭い印象になり、制作技術が現代のクオリティに追いつていない印象になってしまいました。

32話という短さが生んだ新しい形

今作は全32話で構成されており、過去の長編大河ドラマ(100話超え)と比べると非常にコンパクトな作りになっています。
長い話数を嫌がる視聴者も増え、ネットフリックスなどの配信プラットフォームのスピード感に合わせた戦略になります。

これが近年の視聴者が好む「高速展開」を生み出し、ストーリーが停滞することなく進み、スピード感を重視する現代の視聴スタイルに見事に見合致したと言えます。
長編のドラマだと脇役の長いサイドストーリーや、同じようなトラブルの繰り返しで中だるみが指摘されることが多いです。
そうした要素を排除したのは良いところです。

「高速展開」の代償と大河ドラマ短尺化のジレンマ

一方で主人公の心理描写や、王になるまでの過程における細かなエピソードが省略されてしまったという不満の声も上がっています。
主人公の深堀りが物足りず、言動に理解が追い付かないまま次のストーリーに入っていくので、感情移入がしにくいというマイナス要素が。

後続作の大河ドラマ「高麗契丹戦争」も32部作、26年11月に放送予定の大河ドラマは28部作が予定されています。
時代の変化に合わせた作品構成の難しさがポイントになっていますね。

「六龍が飛ぶ」とは対極、血塗られた権力闘争のリアリズム

同じイ・バンウォンを主人公にしたドラマもありますが、その1つが「六龍が飛ぶ」です。
「六龍が飛ぶ」がアクションや架空のキャラクターを織り交ぜたエンターテインメント性の高い作品だったのに対し、「太宗イ・バンウォン」はより王室の権力闘争や家族の葛藤に重きを置いた構成になっています。

華やかな演出を好む層には少し地味に映るかもしれませんが、歴史の重厚感を味わいたい層には、今作のような硬派なアプローチが刺さるはずです。

アトリエの独り言

韓国での評価を振り返ると、やはり撮影現場での事故が作品そのものの価値を落としてしまった感は否めません。
日本でも硬派な時代劇が好きなファンからは待望の大河ドラマとして好意的に受け止められています。
ただし、日本の大河ドラマに比べるとユーモアや癒しがないので、見ていて辛くなるという声もあります。

派手なアクションよりも、じりじりと追い詰められるような心理戦を楽しみたい人におすすめですね。
とはいえ、馬の虐待、死亡事故もあり作品のイメージ自体がかなり悪いのは事実です。
本格的な時代劇が好きならともかく、それ以外、例えばキャスト目当てというだけなら、個人的にはおすすめしにくいものがありますね。

動物愛護の時代に突きつけられた、拭い去れない心理的ハードル

僕は元々時代劇ジャンルを見ることはないのですが、仮に見るとしても今作は見なかったです。
その理由は、やはり動物虐待のニュースがあまりに衝撃的で、作品を純粋に楽しむ心理的なハードルが高くなってしまったからです。

名作になり得た作品だけに、制作側の倫理観の欠如が悔やまれてなりません。
動物愛護が叫ばれる現代において、この汚点はあまりにも重すぎました。

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry