財閥家の末息子でイ・ハンジェが突然見せた裏切りの謎
大ヒットドラマ「財閥家の末息子」で、スニャングループの創業者チン・ヤンチョル会長の右腕として、絶大な存在感を放っていたのがイ・ハンジェです。
チョン・ヒテが巧みに演じたイ・ハンジェは、平社員から実力だけで秘書室長兼企画調整本部長に上り詰め、実質的なグループのNo.2として君臨したサラリーマンの憧れのようなキャラクターでした。
しかし、ドラマが終盤に向かうにつれて見せた彼の衝撃的な行動と、その後の扱われ方に対しては、韓国でも大きな疑問と物足りなさが残る結果となりました。
会長の腹心として見せた圧倒的な存在感と実在モデルの背景
イ・ハンジェは、劇中で誰よりもチン・ヤンチョル会長の性格や思いを理解している忠実な秘書でした。
気むずかしく冷酷な会長に黙々と仕え、スニャングループをここまで巨大化させた陰の立役者として、視聴者からも高い好感度を得ていました。
ちなみに彼は実在するサムスングループの元副会長で、会長秘書室長を務めたイ・ハクスがモチーフとされています。
その圧倒的な業務遂行能力や存在感は本物のビジネスサスペンスを見ているような緊張感を与えてくれましたね。
スニャン家の無能な一族が親の七光りで威張る中、叩き上げの実力だけでトップの絶大な信頼を勝ち取ったイ・ハンジェ。
彼の存在感こそが、序盤の重厚なビジネスサスペンスを支えていたのは間違いありません。
視聴者を困惑させた突然の裏切りとキャラクター崩壊の議論
しかし、これほどまでに会長に忠誠を誓い、会長が愛した孫のチン・ドジュンを陰で支えていたはずのイ・ハンジェですが、会長の死後に突如としてドジュンを裏切る行動に出ます。
経営権を巡る重要な株主総会の場面で、親族側であるチン・ソンジュンの手を取り、ドジュンを失脚させる決定的な引き金を引きました。
このあまりにも唐突な裏切りに対しては、それまでの彼のキャラクター像や信念と矛盾しているのではないかという厳しい批判の声が上がりました。
一連の行動の裏には、自分を単なる使用人としてしか扱わないスニャン家への長年のコンプレックスや、自らがスニャンのトップに立ちたいという野心があったと描写されました。
「なぜそこで寝返るのか」絶望した株主総会と最終回の消失
とはいえ、それまで見せていた誠実な信念とあまりにギャップがありすぎて、画面の前で「なぜそこで寝返るのか」と頭を抱えた視聴者も多かったはずです。
最終回で彼のその後が一切描かれず、影も形も消えてしまったのは、打ち切り作品を見せられたような不完全燃焼感が拭えませんでした。
実際に視聴していた際も、株主総会のシーンでの彼の裏切りには言葉を失いました。
それまでチン・ドジュンを見つめる目が温かかっただけに、単なる権力への野心という一言で片付けられてしまったのがあまりにも惜しまれます。
挽回のエピソード不足と最終回不在の不完全燃焼
裏切りによってチン・ドジュンを窮地に追い込んだイ・ハンジェでしたが、結局はチン・ソンジュンに利用されるだけ利用されて切り捨てられてしまいます。
その後、自暴自棄になった彼は、チン・ヤンチョル会長が密かに残していた真の遺産である裏金帳簿の存在をドジュンに手渡し、間接的に彼を助けるような素振りを見せました。
とはいえ、彼が本当に会長を裏切ったのか、それともドジュンを試すための会長の遺志だったのかという決定的な心の動きについては、劇中で満足な説明がなされませんでした。
さらに残念だったのは、これほどドラマのキーマンであったにもかかわらず、話題となった最終回には彼の姿が影も形も存在しなかった点です。
改心したのか、あるいは自身の罪と向き合ったのかという後処理すら描かれないまま退場してしまったことは、多くのファンにとってモヤモヤが残るポイントとなりました。
原作ファンから指摘されていたカリスマ性の物足りなさ
また、ドラマ放送当時から原作のウェブ小説や漫画を知るファンの間では、イ・ハンジェの描き方に対して初期から物足りなさを指摘する声もありました。
原作に登場するイ執事は、ドラマ以上に圧倒的なカリスマ性と底知れない威厳を持った暗躍者として描かれていたためです。
ドラマ版のイ・ハンジェもチョン・ヒテの名演技によって十分に魅力的ではありましたが、後半のストーリー展開の都合によってキャラがブレてしまった印象は否めません。
出番や設定が少し変わってしまうのはドラマ化において仕方のない部分ですが、彼ほどの重鎮キャラクターであれば、最後にもう少し筋の通った見せ場が用意されていても良かったのではないかという惜しい声が根強く残っています。
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アトリエの独り言
チン・ヤンチョル会長とイ・ハンジェの2人が並んでいる時の、あの一言も発さずとも通じ合っているような熟練の空気感は本当に素晴らしいものでした。
だからこそ、会長が亡くなったあとに彼が見せた裏切りの展開は、個人的にも残念に思うところ。
たとえ裏切りという選択をするにしても、彼の中に渦巻いていた葛藤や、長年スニャンの陰として生きてきた男の悲哀がもっと丁寧に描かれていれば、より深みのある名シーンになっていたはず。
最後までドジュンの前に立ちはだかる最大の壁になるか、あるいは最後まで死んだ会長の意志を継ぐ孤高の守護者でいてほしかったというのが本音ですね。
最終回で彼の姿が見られなかったのは寂しいところですが、イ・ソンミン演じる会長の隣で静かに頭を下げていた彼のダンディな佇まいは、ドラマの渋い名場面として心に強く残っています。





